引っ越しでは、転勤族で荷物をごく少量に抑えている4人家族の家庭でも、ダンボールが50個は必要です。このダンボール、購入するとなると結構な金額がかかります。引っ越し業者で無料サービスになっているのはありがたいですが、この「無料」という言葉には気を付けなければいけません。
今回は、ダンボールにまつわる注意点とサイズ別の梱包方法を紹介します。
梱包用ダンボールは有料?無料なら何個まで?
大手や中堅の引っ越し業者なら、社名入りのロゴやマークが入った大小のダンボールを作り、引っ越しをするお客さんに提供しています。単身の引っ越しなら何枚、家族の引っ越しなら何枚まで無料とし、追加分は有料としたり貸し出したり、業者により様々なケースがあります。
見積もり時に必ず確認しよう
大手の業者なら、会社のパンフレットに「成約のお客様に梱包資材無料サービス」とPRしていたり、見積もり担当者から「ダンボール大20枚、小30枚無料」などの説明があったりします。
中には、見積書に梱包資材セット5,000円などといったん計上した後に、マイナス5,000円として値引きをしたことにして実質無料とする場合などもあります。
もし足りなくなったらどうすればよいのか、追加分も無料で提供してくれるのか、リサイクルダンボールを回してくれるのか、自分で用意する必要があるのか、その辺を確かめておきましょう。念のため、その回答を見積書の備考欄やメモ欄に記載してもらうと安心です。
本契約するまでは無料にはならない
見積もりが終わった後に、「引っ越し日が迫っているので、早く荷造りを進められるようにダンボールを置いていきますね」と、営業マンが玄関先に新品のダンボールの束を置いていくことがあります。しかし、その業者に頼むことが決定していない時点で「助かります!」と喜んで受け取ってはいけません。
もし他の業者に頼むことになった場合、そのダンボールは無料にはならないからです。買い取ったものとされ、1枚あたりの金額を請求されてしまいます。買った覚えはないので引き取りに来てほしいと言うと、自分で営業所に持参するように言われることもあります。
玄関先に放置していて雨で濡れて使えなくなってしまったダンボールを、泣く泣く買い取る羽目になった、積める車がないので送料を払って送り返した、などという話もあります。国民生活センターでもそのようなトラブルの事例が数多く報告されているので、くれぐれも気を付けましょう。
ダンボールのサイズ別おすすめ梱包方法
晴れて引っ越し業者が決まり、無料のダンボールが届いたら、早速荷造りに取り掛からなければなりません。業者が用意してくれるダンボールには、大小のサイズがあります。それぞれ用途に応じて使い分けるために、サイズを変えてあります。
なぜワンサイズではなく、大小の種類があるのか
荷物をトラックに載せたり、下ろしたり、階段を運んだりという作業を考えると、一人の作業員が持てるちょうどいい重さであることが大切です。重すぎては作業に支障をきたしますし、小さく軽い荷物では何度も往復しなければなりません。
これは、荷造りする利用者にとっても同じことです。荷物を詰め込んだダンボールを邪魔にならないように別の場所に移動させようと思っても、重すぎては上に持ち上げて重ねることができません。へたをすると荷物の重さに耐えかねて底が抜けてしまう危険もあります。
そのため、大小のサイズ別のダンボールを作り、「重たいものは小さいダンボールに、かさばるけれど軽いものは大きなダンボールに」というのが、荷造りの基本です。
小さいダンボールに適したものは
ダンボールの縦、横、高さが35cm前後のものが小サイズとされています。小さいダンボールは、同じ種類でまとめて入れると重たくなるものを入れるのに向いています。食器や本、雑誌、書類、CD、DVDなどを入れ、半分ほど詰めたところで持ち上げてみてください。
問題なく持ち上げられれば残りを詰め、かなり重たくなりそうなら残りのスペースには軽いものを入れていきましょう。ダンボールを積み重ねるときもそうですが、中に入れる際も「下に重たいもの、上に軽いもの」が基本です。
われものの食器は一つずつ包む
同じ種類やサイズの食器でも、必ず一つずつ、業者からもらった包装紙や新聞紙、特に気を付けたいものは気泡緩衝材で包みます。そしてダンボールの底に新聞紙を厚めに敷き、お皿は立てて、器は広い部分が下になるように伏せて並べます。
ダンボールの側面と正面、上のふたには、赤い油性ペンで太く大きく「食器」、「われもの」と書いておきます。一目でわかるように、ふたを閉じるときに赤いガムテープで色分けをしておくと、さらにわかりやすいです。
本や雑誌、図鑑や辞典
ハードカバーの本や図鑑などは、まとめるとずっしりと重くなります。同じ大きさごとにまとめて入れるとスッキリとして、本棚に収めるときにも見た目がきれいです。縦にしたり横にしたり、工夫して詰めましょう。
しかし、ぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうと重たくなるので気を付けてください。ふたを閉めるときも盛り上がらないように、まっ平らになるようにします。
CDやDVD、ビデオテープなど
CDやDVDは透明のプラスチックケースが割れやすいため、何枚かずつ小分けにして気泡緩衝材で包み、立てて詰めます。ダンボール内の底面や側面にも新聞紙や緩衝材を使うと安心です。
ビデオテープは普段は見ないけれど、大切な記録を残しているからと、引っ越しの梱包時のまま保管しておく人もいます。収納スペースの奥に通気性の悪い梱包材で包んだままにしておくとカビが発生しやすくなるので、気を付けましょう。電気店やカメラ店などでDVDにダビングしてもらうこともできますよ。
こんなものは大きなダンボールに
横幅が50cm程度、奥行きと高さが35cm前後のものが大サイズとされています。大きいダンボールには、かさばるもの、軽いもの、まとめてポンポンと投げ入れても問題ないような柔らかいものが向いています。
ただし、大きくて軽いからとどんどんと詰め込んだ結果、重くて持ち上がらないようでは困ります。その都度持ち上げてみて、重さを確かめましょう。
たたんで収納している洋服
コートやジャケット、スーツなどは、業者からハンガーにかけて吊るしたままで梱包できるハンガーボックスを貸し出してもらえます。それ以外の頑丈な耐久性のあるプラスチックの衣装ケースに入れてある衣類は、そのまま運んでもらえることが多いです。
しかし、タンスやふた式のコロ付き衣装ケースなどに入れている場合は、強度に応じてダンボールに詰め替えることになります。この辺は、見積もりの際に実際に見てもらって、どうしたらいいかきちんと確認しておきましょう。
詰め替える場合は、ダンボールの大きさに沿ってたたみ直すと、ムダなスペースがなくきっちり収まるうえ、中でずれることもないので、シワも付きにくいです。下着や靴下など小さめのものは、小分け用のビニール袋や小箱に入れたりして詰めると、バラバラにならずに済みます。
シワをなるべく付けたくないカーテン
水洗いができないカーテンは、折る回数を少なく、なるべくシワを付けずに運びたいものです。丁寧にきちんと折りたたまず、ふんわりとたたみます。一番大きいサイズのダンボールに入れるほか、引き出しの大きなタンスや奥行きの長い衣装ケースがあれば、なるべく折り目を付けずにしまうことができます。
大きくて高さのあるもの
掃除機やテニスラケット、大きめのトロフィーなど、ダンボールの中には入るけれどふたが閉められないようなものは、上のふたを開放しておいても大丈夫です。ふたがパタパタしないように、ガムテープで両脇をすぼめるように押さえておけば十分です。
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ダンボールを組み立てるときの注意点
新品のダンボールは、たたまれた状態で束になって届きます。組み立てるときには、底面を井桁に互い違いに入れ込むのは止めましょう。運ぶときに底が抜けてしまったり、重ねたときの安定感が悪く荷崩れの原因になったりします。
正しい組み立て方は、底ぶたがまっすぐに閉じるように、小さいふたを先に折り、大きいふたでふさぎます。ふたが開かないように中央にガムテープを貼り付け、両はじを側面にはみ出すようにカットしてきちんと貼り付けます。さらにその中央に、ガムテープが十字になるように貼り合わせます。
この方法で組み立てると十分な強度が得られるので、ダンボールの角に手をかけて持つときにも、滑らずに運搬することができます。
ダンボールの大小の使い分けを間違えないようにとは言っても、入りきらなかった本を大きなダンボールに数冊入れる程度なら問題ありません。逆に大きなダンボールに軽いものをぎゅうぎゅうに詰め込めば結構な重さになってしまいます。
要は、無理なく持ち上げられるかがポイントです。必ず、途中で重さを確認するように心がけましょう。それが引っ越し当日のスムーズな作業につながります。