テレビ番組の影響か、絵画や骨董品、美術品の愛好家が増えています。テレビスタジオでお宝を披露するにも、白い手袋を着けたり、掛け軸などに息が掛からないようにハンカチで押さえたりしますよね。
それ程までに丁寧に大切に扱わなければならない美術品を、引っ越し業者は運んでくれるのでしょうか。
引っ越し業者が運んでくれないものがあるって本当!?
国土交通省が告示する「標準引越運送約款」では、引っ越し業者が運送の引き受けを拒否することができる荷物の例を掲げています。
- 現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等荷送人において携帯することのできる貴重品
- 火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあるもの
- 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に輸送することに適さないもの
「荷が重い」モノは運送を拒否する権利がある
どうしても運べないというわけではありませんが、できれば有料オプションや他の専門業者に頼むことを推奨している業者もあります。それは、下記のようなものが対象になっています。
絵画などの美術品、骨董品
絵画や彫刻、骨董品なども運ぶのを拒否できます。これらは価値が分かりにくく、保険をかける際にも補償額をハッキリと定めるのが困難な上、お皿やツボなど割れる危険性のあるものも多く、ほんの少しの欠けやヒビがあるだけで価値が損なわれる恐れもあります。
どうしても運んでほしい美術品や骨董品があるのなら、そのような特殊品を運ぶことを得意としている業者に、引っ越しの家財とは別に運送をお願いするようにしましょう。
現金、通帳、貴金属など
現金や通帳、これは分かりますよね。誰だって大金が入った財布は預かりたくありません。万が一、その財布が見当たらなくなった場合にどう責任を取れるというのでしょう。逆に預けた側が悪いということになってしまいます。
引っ越し業者にしても同様です。現金や預金通帳、宝石などの貴金属やアクセサリーは運んでもらえません。うっかり何らかの荷物に紛れて、アクセサリーケースをダンボールに一緒に梱包してしまい、後からなくなったことに気がついてもそれは補償の対象にはなりません。
火薬などの危険物
火薬や灯油、危険な薬品など、引っ越し作業員や第三者、トラックの他の荷物などに損害や危険を及ぼす恐れのある物は運搬できません。
誤って爆発したり引火したりしたら大変なことになってしまいます。石油ストーブなどを運ぶ際にも、しっかりと中のタンクから燃料を抜かなければなりません。
ペット、植物などの生き物
ペットといえども家族の一員です。引っ越しトラックで他の荷物と一緒に運んでもらうわけにはいきません。温度管理もできず、逐一面倒を見ることも不可能です。
犬や猫などの小動物に限らず、金魚や熱帯魚、小鳥や爬虫類など、生死にかかわる生き物は運んでもらえません。
犬や猫は可能なら自分でペット専用のキャリーバッグに入れて同行するのが一番良いですが、そうもいかない時もあるでしょう。そんな時はペットの輸送のオプションサービスを申し込みましょう。ペットの飼育に慣れている人がペット専門の輸送専用の車両で運んでくれるなら、安心感も違いますね。
観葉植物やガーデニングの植木鉢、プランターに植えた家庭菜園の野菜なども、運送を拒否する権利が引っ越し業者にはあります。
これらのものは、土が水を吸って重く、揺られるごとにどんどん水が出てきて、他の荷物を濡らしてしまうことにもなりかねないからです。
観葉植物は枝や葉を養生して運ぶことが難しく、背の高い物は不安定で、枝が折れたり葉を傷をつけたりすることにもなってしまいます。大事な観葉植物の鉢植えがいくつもあるなら、造園業者や植物輸送を得意とする運送業者に依頼するとよいでしょう。
数が少なく、トラックに空きスペースがあるようなら運んでもらえることもあります。ただし、その際には、「枝が折れたり葉に傷がついたりしても責任を負うことはできません。それでもよろしければお運びします」ということを承諾しなければいけません。
また観葉植物だけの損害だけではなく、その鉢から水が漏れて、家財を濡らすことになったとしても、その補償を受けることができないことも理解しておきましょう。
ピアノなどの高価な楽器
高価な楽器であるピアノも、運搬を拒否する権利があります。ただし、ピアノの運送に関しては、オプションサービスで取り扱いのある場合が多く、ピアノ運送に慣れた作業スタッフや、提携先のピアノ運送会社が運ぶことになります。
グランドピアノなどはとても高価で大型の繊細な楽器で、搬出するにも搬入するにも、相当な重さがあり、階段やエレベータ作業にしても取り扱いにコツが必要なので、熟練した作業員でないと運搬が難しいです。
またクレーンなどを使った移動では特別な技術が必要となるため、やはり慣れたスタッフに任せた方がお互いに安心です。
もしもトラブルになってしまったら
引っ越し作業中に万が一、事故が起こってしまったら、当事者同士での解決が難しくトラブルに発展してしまいがちです。当事者同士で感情的な言い合いをするよりも、引っ越し業者の責任者へ連絡をして交渉した方がよいでしょう。
それでも、問題が解決しないときには、国民生活センターなどの窓口で相談しましょう。荷物の破損などの申告をする有効期限が決められているので、なるべく早めの対応をおすすめします。
まとめ
価値のある荷物を運んでもらう際には、事前に引っ越し業者に申告することが大事です。
家財保険に別途加入するか、その物の運送を専門とする業者に依頼するか、または単品で宅急便を利用するか、引っ越し業者と相談の上、どのようにするのが最善な方法かを考えて依頼するようにしましょう。