引っ越しをしたら、住民票や各種手当などの行政サービスを正しく受けられるようにするために、住民票の住所変更の手続きが必要です。その書類には「転出届」「転居届」「転入届」があります。それぞれの手続きを行う場所や、手続き方法などをまとめました。
他の市区町村への引っ越しで必要な手続き
役所に提出する住所変更の届け出は、2種類に分けられます。一つは同じ市区町村内への引っ越し、もう一つは他の市区町村への引っ越しです。まずは、新居と旧居がある市区町村が違う場合の届け出について見ていきましょう。
この場合、提出しなければならないのは、転出届と転入届の2通です。それぞれ手続きをする場所が違うため、一度にすますことはできません。引っ越し当日は手続きをしに行く余裕がないことがほとんどなため、別に日にちを確保しておくことが大切です。
転出届
引っ越しの14日前から当日までの間に、転出届を提出しましょう。旧居のある場所の役所へ行き、窓口に置いてある用紙に記入した後、受け付けてもらいます。この時もらえる「転出証明書」は、後日転入届を提出する際に添付する必要があるので、大切にとっておきましょう。
本人確認書類や印鑑のほか、必要な人は国民健康保険証や乳幼児医療費受給資格者証、高齢者医療受給者証、印鑑登録証なども持っていきましょう。その場で抹消手続きをしたり、有効期限などを書き込んでもらえたりします。代理人に頼む場合は、委任状や代理人の本人確認書類、代理人の印鑑が必要です。
転出届を出した後、急な事情で引っ越しが中止になった場合は、そのままにしておいてはいけません。放置してしまうと、転出予定日が来た時点で住所不定扱いになってしまいます。引っ越しの中止が確定した段階で転出証明書を持って役所に行き、抹消手続きを行ってください。
転入届
引っ越し作業が終わったら、14日以内に転入届を出しましょう。提出先は新居のある場所の役所で、転出証明書と本人確認書類、印鑑が必要です。転出届と同じく代理人による提出ができますが、その場合は委任状と代理人の本人確認書類・印鑑が必要です。
転入届を提出したら、ついでに住民票を1通とっておくことをおすすめします。免許証の住所変更手続きなど、いろいろな場面で活用できるでしょう。
同じ市区町村内での引っ越しで必要な手続き
旧居と同じ市区町村内に引っ越しした場合は、転居届を提出します。この1通を受け付けてもらえば終了です。管轄の市区町村の役所へ行き、転居届を書いた後、本人確認書類と印鑑を持って窓口に向かいます。
必要な人は、国民健康保険証や乳幼児医療費受給資格者証、高齢者医療受給者証なども持っていきましょう。代理人でも手続きできますが、その場合は委任状と代理人の本人確認書類・印鑑が必要です。
提出期限は、転居後14日です。引っ越しを終わらせないと転居届を出すことはできないので、気を付けましょう。また、同じ市町村内でも、引っ越しにより学区が変わることがあります。子どもがいる場合は、そちらの手続きも忘れないようにしましょう。よくわからない場合は、事前に教育委員会や学校などに相談しておくことが重要です。
住民票と一緒にやっておきたい!役所でできる手続き
せっかく役所に行くのですから、必要な手続きは一度にすませておくことをおすすめします。そこで、転出、転居、転入届を出す時に一緒にやっておきたい手続きについてもまとめました。
転出届と一緒にやりたい役所の手続き
こちらは、旧居のある地域の役所に出すものなので、忘れてしまうと、長距離を移動して手続きをしに行ったり、郵送で時間をかけて取り寄せたりしなければなりません。
児童手当
「児童手当受給事由消滅届」を出して、「所得課税証明書」を発行してもらっておきましょう。所得課税証明書は、出してほしい年度の1月1日に所在地を置いていた地域の役所でしか発行してもらえません。
そのため、引っ越した後で気づいて発行してもらおうとすると、手間と時間がかかります。郵送で取り寄せることもできますが、転出届を出した時に一緒に発行してもらっておくと、後から楽です。
乳幼児医療費受給資格者証
「乳幼児医療費受給資格者証」を返却します。引っ越しまでに使う可能性がある場合は、使用期限を書き込んでもらうだけで持ち帰れることもあります。児童手当と同じように所得課税証明書が必要なので、取得しておきましょう。児童手当申請用と併用して1枚ですませられるかどうかは、各市区町村への確認が必要です。
国民健康保険
健康保険の第一号被保険者の場合は、「資格喪失手続き」を提出しましょう。保険証と印鑑、持っている人は高齢受給者証を持参します。
印鑑登録
「印鑑登録証」を持っていって返却をすると、抹消手続きをしてもらえます。転出届を出すだけでこちらの手続きは必要ない市区町村もあるので、転出届を出す際に確認してみましょう。
転居届、転入届と一緒にやりたい役所の手続き
引っ越しが終わったら、以下の手続きも終わらせてしまうと楽です。転出届を出した時にもらった転出証明書や所得証明書が必要なものもあるので、きちんと手続きを終えるまでは、わかる場所にまとめておきましょう。
児童手当
新居の地域で児童手当を支給してもらうためには、印鑑と通帳、保険証、所得課税証明書が必要です。請求者と受給対象の子どもが別居している場合は、別途、別居している児童の世帯全員の住民票と「別居監護申立書」が必要です。
また、請求者が子どもの実の親ではない場合や連れ子である場合は、「生計監護維持申立書」を持っていきましょう。これらの書類は、役所のホームページなどで入手できます。提出期限は、転出予定日から15日以内です。
15日を過ぎて申請をした場合、ひと月分の児童手当がもらえないことがありますので注意が必要です。ただし、転出予定日から15日目の日が土日祝日などで役所が開いていない場合は、次に役所が開く平日が期限となります。同じ市区町村内での引っ越しの場合は、転居届を出すだけで特別な手続きは必要ありません。
乳幼児医療費受給資格者証
転入届と一緒に出す場合は、所得証明書のほかに印鑑と保険証が必要です。国民健康保険の手続きがある場合は、先にすませておきましょう。同じ市区町村内への転居の場合は、住所変更のみで引き続き使用できます。
国民健康保険
転入するなら加入手続き、同じ市区町村内への転居の場合は住所変更手続きが必要です。転出証明書と本人確認書類、印鑑のほかに、口座振替で保険料を納めたい場合は通帳と銀行印を持参しましょう。キャッシュカードやクレジットカードで手続きできるところもあります。
国民年金
第一号被保険者の人は、転入した市区町村の役所で住所変更をする必要があります。同じ市区町村内への転居の場合も、同様に手続きを行ってください。国民年金手帳と印鑑が必要です。
印鑑登録
転入するなら、新たに印鑑登録を行います。後日発行になる市区町村もあるので、近日中に必要になることがわかっている場合は、転入届と一緒に登録をかけておくのがベストです。同じ市区町村内での引っ越しの場合は、転居届の提出のみで手続きは特別必要ありません。
住民票の手続きには、それぞれ14日の期限があるので、引っ越し前後には予定を開けて役所に足を運べるようにしておきましょう。仕事などでどうしても平日に行くことが難しい場合は、代理人を探しておくことが重要です。市区町村によっては手続きの方法が違うことがあるので、事前にホームページなどで確認することをおすすめします。