最近は住んでいる家に表札を付けない人が大勢います。持ち家よりも賃貸住宅に住んでいる人の方が表札を出していない割合が多く、都心に近づくほどその傾向は高くなります。引越しをしたら表札をどうしよう、とりあえずは周囲を観察してから、なんて迷う人もいるでしょう。そこで、表札を出すことによるメリットとデメリットを紹介します。
防犯上の理由で表札を出さない人が増えている
昔は住所と世帯主の名前とそこに住む家族全員の名前が記載された表札をよく見かけましたが、最近はあまり見ませんよね。それはこの家にはこういう名前のものが何人で住んでいます、とわざわざ教えてしまうため、防犯上の理由でためらう人が増えたからだからです。
フルネームを記載する必要はない
同じ部屋が何室も並ぶ通路の長い構造のマンションでは、表札を出さないと自分でもうっかり部屋を間違えそうになることもあります。必ず部屋番号だけはわかるようにしておいてください。
しかし、部屋番号がわかっても、実際に本人が住んでいるのかどうかがわからないのであれば、書留の郵便物や宅配便が確実に届けられるかというのも心配ですね。オートロックのマンションでないなら、苗字だけでも表札があった方が間違いがないのではないでしょうか。フルネームを記載する必要はないと思います。
賃貸か分譲かにより異なる場合も
ようやく念願のマイホームを手に入れたからには、立派な表札を作り掲げたいと思うようです。しかし、一戸建ての多くは表札を出していますが、マンションを購入した場合、出していない人も結構いるようです。
賃貸で住む人は何年住むことになるかわからないから、表札にはこだわらず適当なプレートに苗字だけを書いたり、パソコンで印刷して作ったりしている人もいます。また、家族で住んでいるのか、女性の一人暮らしか、などによっても違ってきます。
明らかに単身向きのアパートやマンションでは、名前を見ただけで女性とわかるフルネームの表札は出すべきではないでしょう。
表札を出すことのメリットは?
ここに住んでいるのが誰か明確にわかることです。たとえば、宅配業者が訪問して「○○さんのお宅ですか?」と聞かれ、そうだと答え、受取印を印鑑ではなくサインですまそうとすると、「失礼ですが身分証明書を」なんて流れになることもあります。
配達する側にしてみれば、それは仕方のないことですよね。荷物の内容と受け取る本人にあまりにギャップがあれば、成りすましを用心しなければなりませんし、全く関係のない第三者に誤って荷物を渡してしまったら大変なことになりますから。
表札さえ出しておけば、ここに○○が住んでいる、ということが訪問者に疑われずに信じてもらえます。他にも、以下のようなことが挙げられます。
自分宛ての郵便物がきちんと届く
集合ポストがなく、玄関ドアに郵便物のポストがあるタイプの造りなら、表札を出していれば、確実に郵便物は届けられます。たとえば、住所の一部に誤りがあったり、最後の部屋番号が漏れていたりしても、苗字で判断して入れてもらえることもあります。
誤配がない、前住人の郵便物が届かずにすむ
これは、上で述べたことと似ていますが、表札が出ていれば郵便物の誤配は防げます。つまり、自分宛ての郵便物はきちんと届くのは当然ですが、別の住人の郵便物は間違って入ることがない、と言えます。
集合ポストなどもそうですが、名前を出していないと、隣人宛ての郵便物が間違って届くことが多いです。自分の帰宅時にポストを確認し郵便物は全て持って帰ったはずなのに、その後に郵便物が入っているのを発見したりすることがあります。
そんなときは、自分宛ての郵便物が間違いで他のポストに入れられていたのを、その主が帰宅したときに気づいて入れ直してくれたのではないかと思います。ハガキは裏面の内容が見られますし、DMなどは送り主が書いてあれば、どんな趣味でどんな買い物をしているかなど、ある程度の判断はできてしまいます。
こんなときは、表札を出して苗字がわかるようにしておくことは、逆に自分のプライバシーを守ることにもつながります。
不在でも宅配便の不在連絡票を入れてもらえる
郵便物の書留郵便などは本人が留守にしていると不在連絡票を入れて、郵便物を一旦郵便局に持ち帰ります。表札があれば、そこに住んでいることがわかるため、ポストに不在連絡票を入れてもらえます。
しかし表札がないと、郵便局員は郵便物の宛名を見て、その人が現在ここに住んでいるのか、引越してしまった前住人に対しての郵便物なのかの判断ができません。うかつに不在連絡票を入れることもためらい、そのまま持ち帰ってしまうでしょう。
また本人が在室しているような時間帯に再配達してくれれば良いですが、そうでないと送り主に返送されてしまいます。それでは、送られても返送されても何もわからないままになってしまいますね。
苗字で呼んでもらえる
ゴミ出しや通勤通学の時間帯が一緒だったりすると、しょっちゅう顔を合わせて挨拶はするのに、肝心の名前がわからない人もいるのではないでしょうか。引越しの挨拶に自分の名前を記した挨拶品を持って回っても、相手が名乗ってくれないと隣人の名前もわかりませんよね。
もしかしたら何か訳ありの人物なのではと勘ぐられたり、下手に関わらない方が良いのかとか、近寄りがたい壁を感じてしまう人もいるようです。
短期間の一人暮らしならあまり近所付き合いを意識することもないかもしれませんが、そうでないなら、ここに住んでいる○○さん、と認識してもらった方がコミュニケーションもうまくいくのではないでしょうか。
表札を出すことのデメリットは?
それでは逆に表札を出したことにより考えられるデメリットは何があるでしょうか。多くの人が表札を出したがらないのには、どういった問題があるのかを説明します。
防犯面で不安がある
今の世の中が物騒だから、という考えで表札を出していない人が多いようです。個人情報を守る意味でも、ここに○○が住んでいる、ということが知られたくないという声もあります。また、表札を出していると訪問販売や営業の人がどんどん来てしまうから面倒だということもあるようです。
部屋番号さえわかれば郵便物は届くし、表札を出す意味がない、海外でもほとんどがそうなっている、日本は遅れているという見方もありました。
住所と名前がセットの個人情報は価値がある?
建物で住所はわかりますし、部屋番号と苗字が表示されていれば、個人情報のうちの住所と苗字は誰が見てもわかります。それがわかるとどうなるか、つまりは、郵便物が届けられるということです。
自分で取り寄せた覚えがないパンフレットが届いたり、知らない会社からのDMが届いたりというのは、名簿業者から住所や名前を入手してパソコンなどに入力し、ラベルを印刷して片っ端から送りつけているからです。
しかし古い名簿を使用すると、宛先不明で戻る郵便物もたくさんあります。現在間違いなく住んでいることがわかり、情報の新しいものほど、住所と名前は価値のあるものになります。
たとえば、集合ポストなどに苗字ではなく「T」などと出しておくと、郵便物の宛名に「T様」となっていても確実に届けられます。自分の知らないところで、自分の情報が売り買いされるのが我慢ならないので、表札は出したくないというわけです。
知らない人に苗字を覚えられてしまう
見ず知らずの無関係の人に、名前を知られてしまうのが怖い、と感じる人もいます。宅配業者を装った不審者が、名前を呼んでドアを開けさせたという事件もありました。また、外で子どもに近づき、○○さんが救急車で運ばれたから、一緒に病院に行こうなどと声を掛け、連れ去るような事件が起こらないとも限りません。
最近の小学校では、個人情報保護の意味で、子どもの名札は通学途中には外すか、裏を向けるように、という指導をしているところもあります。
まとめ
昔は何の心配もいりませんでしたが、最近は、防犯のために表札を積極的には出したくないと思う人が多いようです。しかし、管理人がいるようなマンションでは、いちいち本人が本当に住んでいるかを確認されてしまうので、表札を出してほしい、と言われることもあるようです。
また、不動産管理会社では、そのような個人情報も教える必要はない、としていることもあり、電話をかけて相手が出なければ、配達物は送り主に返されてしまうこともあります。
用心をしたいなら、一人暮らしの女性は出さない方が良いでしょう。ただ、最初は付けていなくても、表札がないと郵便や宅配の誤配が多くなるため、後になってから表札を付ける人も多いようです。
出す場合は、女性の一人暮らしということがわからないよう、苗字だけにしたり、下の名前を架空の男性の名にしたりすると安心ですね。