結婚や転職などの人生の転機において、ついて回ってくるのが引っ越しです。マンションを購入、もしくは借りるなどして入居する際、行うべきかどうか迷うことの一つに、管理組合への報告があります。そもそも、報告は必要なのでしょうか?するとしたら、何のために?そんなマンションの管理組合との関わり方について、まとめてみました。
報告は絶対やっておいた方がいい!
マンションの管理組合への報告は、絶対にやっておいた方が良いです。購入や賃貸としての借り受けが確定したら、できるだけ早いタイミングで報告を入れておきましょう。
でも、個人情報にうるさい世の中ですから、いきなり報告しましょうと言われても、どうしてそんな必要があるの?と疑問に感じる人も少なからずいるでしょう。管理組合への報告の重要性を理解するためには、まず、管理組合が何をしていて、どういう組織なのかを知っていくことが大切です。
管理組合の業務内容
マンションの設備は作ったら終わりではなく、気持ちよく使い続けるためにはメンテナンスが必要です。さらに、住人同士がもめごとなく一緒の建物に住んでいくための、ルール作りなども大切です。
マンションの管理組合は、多くの場合、そのマンションの住人達が集まって、マンション内の決めごとを作ったり、共用部分の管理をしたりする組織です。共用部分は、部屋の中やベランダ以外の、廊下やエントランスホール、駐車場などのことを言います。
また、水やガス、電気などを全戸に張り巡らすための配管やごみ置き場、その他マンションに併設されている施設も、この管理組合の管理下にあります。
報告が必要な理由
このように、マンションの管理組合は文字通り「管理」をすることを仕事としています。この仕事には、「住んでいる人が誰か把握しておくこと」も含まれているので、その辺が分からなくなってしまう「報告なしの転出・転入」は、管理組合にとって非常に厄介な悩みの種です。また、報告しておくことで円滑に進められることもあります。
引っ越し当日
引っ越し当日には、重たい荷物を運ぶため足音が大きくなりますし、作業員が連携を取り合いながら引っ越し作業を進めるために多少うるさくなります。また、建物自体を傷つけてしまわないように共用部分の養生もするので、すでに住んでいる住人にとっては普段の生活の邪魔になります。
特に共用部分は住んでいる人全員の財産なので、勝手に手を加えたら憤慨してしまう人もいることでしょう。その点、管理組合に報告しておけば、貼り紙をするなどして予め住人に引っ越しの日時を知らせておいてくれるので、当日の作業がやりやすくなります。
今後の生活
今後そのマンションで気持ちよく生活していくためにも、管理組合への引っ越し報告は重要です。住民が参加している管理組合への報告は、ご近所へのあいさつと同じ意味をもつので、それを怠ることは、ご近所へのあいさつなしに、いきなりその部屋に住みだすということになります。
入居者同士の仲が良いマンションだと、それだけで今後の生活がやりにくくなってしまう可能性があります。ですから、事前の報告は忘れないようにしましょう。
引っ越し業者はそこまでやってくれない!
「でも、そういう雑事は引っ越し業者がやってくれるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。しかし現実には、引っ越し業者がそこまでやることはほぼありません。訪問見積もりの時でさえ、そのお宅に直行して下見をして値段交渉をしたら、管理組合を素通りして帰っていきます。
引っ越し業者がやってくれるのは荷物を運ぶ作業だけで、その他のことはオプションを頼むなどしなければ基本的にやってくれることはありません。オプションを頼むにしても、エアコンの設置やクリーニングサービスなど、部屋の中のことだけで、手続き系のことは含まれないでしょう。
管理組合への報告は、役所への手続きなどと同じように、自分で忘れないようにしておくことが大切です。また、引っ越し当日にトラックが停めてもいい場所やダメな場所などの注意事項も、自分が窓口となって業者に伝える必要があります。
報告しておかないとこんなトラブルが…
自分で報告しなければならないなんて、面倒だから放っておこう、などと報告するひと手間を惜しんでしまうと、引っ越し当日にトラブルが起きてしまう可能性があります。2つの具体例を紹介します。
トラブル1. エレベーターの占拠
上階への引っ越しの場合、エレベーターを使った作業になります。それなりの荷物があるので当然エレベーターを使用する回数も増え、引っ越し業者が占拠してしまいます。もちろん、引っ越し作業をしている間に、他の人が全くエレベーターを使わないなんてことはありません。
遠慮なしにエレベーターを使っているようでは、普通に生活している住人に高い確率で迷惑をかけてしまいます。その点、管理組合に報告していれば、事前に貼り紙などを使って、引っ越し作業があることを住人に知らせておいてくれたはずです。
その日に引っ越しする人がいることを予め知っているのと、後になってから知らされるのでは、依頼主に対する心証はかなり変わってくるでしょう。また、引っ越し作業時のエレベーターの使い方の規定などがあれば、当日までに引っ越し会社に伝えておくことができたかもしれません。
トラブル2. 管理組合が管理できない土日祝日の引っ越し
マンションの住人の持ち回りではなく、管理人を外注された業者が行っている場合、土日祝日に管理人がおらず、窓口がしまっていることがあります。
そんな時に、引っ越しのトラックをほかの人が契約している駐車場に停めていたり、出入り口をふさいだりしていても、管理人はその場にいないため注意することができません。そうなると、迷惑をこうむった住人が直接業者や依頼主にクレームを申し立てる事態になる可能性があります。
あいさつ回りなどをして、近所づきあいを円滑に進めようと努力していても、このような引っ越しの入り口でつまずいてしまえば台無しです。一言管理組合に報告しておけば、その時に「ここには停めないでくださいね」「当日の引っ越しのトラックの停泊位置はこちらでお願いします」などと、アドバイスや指示がもらえたはずです。
それを怠ったせいで、新居での生活がし辛くなってしまった例と言えます。引っ越しは、仕事が休める土日祝日で行う人が多いので、気をつけておきたい事例です。
せっかくの新天地、新生活ですから、それを怠ったがためのトラブルが起こらないように、管理組合への報告は忘れずに行いましょう。電話一本で済むことですし、これからそのマンションに住むうえでのルールなども教えてもらえるので、面倒でもやっておいた方が今後のためになります。