引っ越しを伴う再就職で支給される失業保険の移転費とは

引っ越しを伴う再就職で支給される失業保険の移転費とは

勤めていた会社を辞めたり、会社が倒産したりなどで離職した場合には、それまでの給与額に応じた失業保険が給付されます。

しかし、その失業保険で引っ越しのための「移転費」が給付される代金を支給してもらえることは、あまり知られていないようです。そこで今回は、この移転費について詳しく説明します。

そもそも、失業保険の「移転費」って何?

移転費とは、失業保険を受給している人がハローワークを通じて遠方への会社へ再就職が決まったときに、引っ越し代を出してくれるものです。

失業手当の中から、移転費、交通費、着後手当などが支給されます。単身の引っ越しでも、家族と一緒に引っ越しする場合でも「移転費」として給付されます。

移転費には何が含まれるの?

移転費=引っ越し業者に支払う引っ越し代、だけではありません。その他にも、自分および家族が引っ越し先に移動するための「交通賃」、例えば鉄道、船、航空、車の乗車賃など、そして「着後手当」が含まれます。

着後手当とは、引っ越しのときに自由に使えるお金です。引っ越しの途中の飲食代に充てたり、宿泊費に充てたり、家具やカーテンなどを購入したり、その使い道が問われないお金です。

だいたいどのくらいの金額が支給されるの?

住んでいる地域や引っ越しのタイミングなどによって変動がある可能性も考えられますが、実は、給付額の詳細は公にはなっていません。失業保険の基本手当も前職の収入や家族構成などによって異なるため、一概にどのくらいとは言えないのではないでしょうか。

ただし、移転費のうち、着後手当については引っ越しでの移動距離に応じて金額が決まっています。

例えば家族と一緒に引越す場合は以下が給付され、単身の引っ越しの場合はこの半分の金額が給付されます。

  • 移動距離が100km未満の場合:76,000円
  • 移動距離が100km以上の場合:95,000円

全体でどの程度の額が給付されるかは人によって差があるものの、この着後手当だけでもなかなかの金額です。これに加えて引っ越し代が給付されると考えると、人によっては数十万円に上る可能性もあります。何かと物入りな引っ越しのタイミングにはありがたいですよね。

ちなみに、引っ越しシーズンである3月中旬から4月上旬は、引っ越し料金も通常期の2倍3倍に跳ね上がります。再就職のタイミング次第ではあるものの、給付金をより有効活用したければ、その時期を避けるという考え方もありかもしれません。

引っ越し代をハローワークが払ってくれる!?

ただし、この移転費は誰でも無条件にもらえるわけではありません。前提条件として、この3つを満たしていることがポイントです。

  • 就職活動をハローワークで行っていることまたはハローワークの紹介求人で就職していること
  • 前職で雇用保険を一定期間納めていること
  • 失業保険の受給資格があること

例えば自分で求人サイトなどで就職活動をして再就職した場合は、移転費の給付対象にはならないので注意しましょう。

失業保険をもらっている人は誰でももらえるの?

3つの前提条件に加えて、以下の要件も満たしている必要があります。

まず1つ目として、会社都合の離職の場合は、失業手当の手続きをしてから7日間の待機期間が経過してからです。自己都合の離職の場合は、3か月の給付制限期間の経過後であることが条件です。

その後、就職したり、公共職業訓練校に通うことになったりした場合で、交通の便が悪く、通うのに片道2時間以上の移動が必要になる等、職業安定所の所長が引っ越しの必要があると認めた場合です。

2つ目として、再就職先から、入社準備金などの名目で引っ越し費用の全額を支給されていないことです。ただし、引っ越し費用の「一部」が再就職先から支給される場合は、ハローワークからはその差額が支給されます。

移転費の受給にはどんな手続きが必要?

引っ越しをしてから1ヶ月以内に、ハローワークに雇用保険の受給者であることの証拠となる雇用保険受給資格者証を持参の上、移転費支給申請書に必要事項を記入し届け出ます。

家族と一緒に引っ越しをした場合は、就職した人の収入により生計を立てている同居家族であることが証明できる書類を添付する必要があります。一般的には住民票の写しや、個人の現住所が記載されている身分証明書のコピーなどです。

その後、再就職先の会社に申請して、ハローワークに移転証明書を郵送などで提出し終了です。

支給手続きの流れ

まずハローワークで移転費の対象となるかどうかを確認します。

移転してから1か月以内に、移転後の管轄のハローワークに移転費支給申請書を提出します。用紙は所定のものが用意されています。雇用保険受給資格者証と、かかった交通費の領収証を添付します。

家族がいる場合は、再就職する本人の収入により生計を維持している同居親族の証明書類を添付します。

ハローワークで提出書類の内容を審査し、認められれば「移転証明書」の用紙と、「移転費支給決定通知書」が発行されます。

上記の2つの用紙を再就職先に提出し、「移転証明書」に会社から証明をしてもらいます。再就職先の会社から、直接ハローワークに返送してもらうよう依頼してください。

「移転費支給決定通知書」は、再就職先から受け取ります。その後、ハローワークから後日支給されます。

1ヶ月の期限を過ぎると、数万円から数十万円を受け取れなくなってしまいます。引っ越し直後でばたばたするタイミングですが、忘れずに期限前に手続きをするようにしましょう。

職業訓練でも引っ越し代が給付される!

移転費は再就職にともなう引っ越し以外でも給付される場合があります。再就職にあたっての技能を身につける、「公共職業訓練」や「職場適応訓練」などを受けるために引っ越しをしなければならない場合も、移転費が支給されるのです。

ただしこれも、民間の専門学校や各種学校の講座、講習を受講するための引っ越しはNGなので、細かい条件はハローワークで確認した方が懸命です。

注意すべき点について

移転費を当てにして引っ越したのに、引っ越したあとに要件を満たしていないことに気づき、受給できないなんてことになったら大変です。ここで説明した要件に加えて、以下の点も頭に入れておきましょう。

再就職先には一年以上継続して勤めること

ほんの短期の雇用契約で退職し、次々に引っ越しをして、その都度移転費を請求する、という不正受給を防ぐために、移転費を受給したら正社員として少なくとも1年以上就業する必要があります。

再就職先の会社をすぐに辞めてしまったり、職業訓練に通わなかった場合は、支給された移転費を返還しなければなりません。虚偽申告や不正受給があった場合は、以降、失業に関する一切の手当てを受けることができなくなる恐れがあります。

引っ越し代の全てを出してもらえるわけではないこと

移転費が支給されるからと気が大きくなり、引っ越し代が高額になってしまっても、その全額が給付されるわけではありません。

自宅に引っ越し業者に見積もりに来てもらい、相見積もりを取り、条件の良い安い業者を選ぶようにしましょう。離職中でなるべく自己負担額を押さえるためには、引っ越しの一括見積もりサイトを使えば、効率よく安い引っ越し業者が見つかるかもしれませんよ。

そもそも移転費の存在を知らず、就職先を探すときに引っ越し代がネックになって、今住んでいるところから通勤可能な会社ばかり探していたという人も多いでしょう。

移転費が給付されてある程度引っ越しの負担が軽減されるなら、勤務地の範囲を広げてもっと良い条件の求人がないか、探してみようと思えますね。

参照:ハローワーク「就職促進給付」

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