引っ越しをしたら役所に行って手続きをしなければなりませんが、具体的には何をどのようにすれば良いのでしょうか?転出届や転入届などで行う住所変更はすぐに思いつくことができますが、まだまだ忘れては困る手続きがあります。
今回はそのなかでも、特に忘れずにやっておきたい印鑑登録、国民年金、医療保険の3つについて紹介します。
印鑑登録
印鑑登録とは、不動産や車の購入など人生の大きな買い物をするときに必ず必要になる、「実印」を登録する作業のことです。この印鑑登録をしておかないと、実印とともに求められる「印鑑証明」を発行してもらえません。登録のためには、以下の3つをクリアしていることが条件です。
- 届け出を出す市区町村に住民登録があること
- 外国籍を有する人の場合は、外国人登録法による登録をすませてあること
- 15歳以上であること
また、登録できる印鑑は、8mm~25mmの正方形に収まり、氏名を組み合わせた文字が彫刻されているものと定められています。フルネームではなく、氏や名しか彫刻されていない印鑑の場合は、地方の条例により登録できないケースがあるため、事前に役所に確認しておきましょう。
印鑑登録を完了させると、「印鑑登録証」と呼ばれるカードを発行してもらえます。これを持って役所に行けば、誰でも簡単に印鑑証明を発行できるので、扱いには十分注意しましょう。すでに印鑑登録がある場合は、引っ越しに伴い届け出が必要です。ただし、同じ市区町村内への引っ越しの場合は、転居届を出すだけでOKです。
旧居側での手続き
旧居があった地域で印鑑登録をしていた場合は、転出届の提出とともに登録が廃止されます。すぐに印鑑証明が必要な場合は、先に取得しておきましょう。ただし、地域によっては、転出届とは別に「登録印鑑の廃止届」の提出が必要な場合もあります。この場合、印鑑登録証と登録している印鑑、本人確認書類が必要です。
また、必要のない地域でも、古い印鑑登録証の悪用などを考えた場合、廃止届の提出とともに印鑑登録証の返却をしておいた方が安全です。
新居側での手続き
転入届を出して住民票の住所変更手続きが終わってから、登録しに行きましょう。実印登録したい印鑑と本人確認書類、市区町村ごとに定められた登録費用が必要です。登録費用の目安は300円くらいです。
外国人の場合でも、外国人登録法に基づく登録さえきちんとしてあれば、日本人と同じ方法で手続きすることができます。
国民年金
国民年金の被保険者は、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者と3つにわけられます。役所での手続きが必要なのは、第1号被保険者の人たちです。会社などに属さず、自営業や農業をしている人や学生などが該当します。
旧居側での手続きは、必要ありません。引っ越しをしたら、14日以内に新居側の役所にて手続きをします。この際、国民年金手帳と印鑑が必要です。同じ市町村内での引っ越しでも、同じように手続きをする必要があるので、忘れないようにしましょう。
医療保険
役所で手続きをする必要があるのは、国民健康保険に加入している第1号被保険者の人たちです。国民年金の手続きをする人は、こちらも同じく手続きする必要があるので覚えておきましょう。
旧居側での手続き
旧居側の役所では、国民健康保険の資格喪失手続きをします。同一世帯の人ならまとめて手続きできるので、転出する人全員分の保険証と、手続きをする人の印鑑を持参しましょう。必要な人は、「乳幼児医療費受給資格者証」や「高齢者医療受給者証」も一緒に持って行きます。
手続きの期限は引っ越してから14日以内ですが、引っ越しをする前から手続きすることができます。新居に移ってから旧居のあった地域までわざわざ出向くのは大変なので、転出届を出すときに一緒にすませてしまうことをおすすめします。
健康保険証は、その場で返却を求められる場合もあります。しかし、引っ越し日まで間があり、保険証がないと困る場合は、役所の担当者に相談してみましょう。使用期限を記載して、持ち帰ることができる場合があります。
引っ越し先で、乳幼児医療証の申請ができる年齢の子どもがいる場合は、「課税証明書」ももらっておくようにしましょう。課税証明書は、前年度の1月1日に住民票を置いていた地域の役所でしか発行してもらえないので、後から出してもらおうとすると、わざわざ旧居の地域まで出向いたり郵送で取り寄せたりしなければなりません。
新居側での手続き
新居側の役所では、新たに国民健康保険への加入手続きをします。手続きには、本人確認書類と印鑑が必要です。また、乳児医療証などを合わせて申請する場合には、課税証明書も持って行きましょう。
手続きの期限は、引っ越しをしてから14日以内です。14日を過ぎても手続きを行わなかった場合、健康保険に未加入のままになるので、病院にかかったときに全額自己負担しなければなりません。また、必要になってから加入したとしても、それまでの無保険期間の分の保険料もさかのぼって請求されます。
そうなると、一度に大金を払わなければならなくなってしまいます。そのため、加入手続きは必ず期限内に行うようにしましょう。生活が苦しくて保険料を払えない場合は、未加入状態で過ごすのではなく、その旨を素直に相談しましょう。収入の状況などに応じて保険料を免除してもらえたり、減免してもらえたりする場合があります。
社会保険の場合は…
厚生年金や会社の加入している協会けんぽ、社会保険組合の健康保険の被保険者、その被扶養配偶者の場合は、働いている会社の人事部や総務部に引っ越しをする旨を伝えて、手続きをしてもらいましょう。
引っ越し前後の手続きは、役所関連だけでもたくさんあります。新居の確保や荷造りなども合わせると、やらなければならない作業は膨大です。また、引っ越しを安くすませようとすると、引っ越し業者選びにも時間がかかります。限りある時間の中で効率よく手続きを終わらせるために、必要な手続きについては事前に把握しておきましょう。