タバコのヤニ汚れや黄ばみは借主の過失になるか?

タバコのヤニ汚れや黄ばみは借主の過失になるか?

タバコを吸っている人が引っ越しをする時、気になるのが壁紙の汚れです。張り替えやクリーニングが必要なほどヤニで汚れていると、敷金が全然返ってこなかったり、退去時に多額の費用を請求されたりするケースがあります。

喫煙者にとってはタバコは生活の一部なので、普通に使用していただけじゃないか!と思う人もいるかもしれません。ここでは、タバコの汚れについての考え方や、トラブルを起こさないようにするための対策を紹介します。

喫煙者につきまとうヤニ汚れ!過失になるかどうかは交渉次第

タバコの煙が部屋中にモクモクと充満しているような風景は、ひと昔前は当たり前に見られたものでした。しかし禁煙に対する意識が高まり、タバコの煙やニオイを気にする人も増えたため、「このままでは次の人に貸せないから、壁紙を張り替えなければ」と考える家主もいます。タバコを吸わなければ発生しなかったはずの汚れなので、そう考えてしまうのも無理のない話です。

6年も経てば価値は1円?

費用の負担を迫られた時、金額の参考になる項目の一つに、経過年数による残存価値があります。壁紙の残存価値が1平方メートルあたり1円になるのにかかる年数は6年で、3年も経てばおよそ半額の価値にまで下がってしまう計算です。

壁紙の張り替え費用を全額請求されて、あんまりだと感じたら、このことを引き合いに出して交渉するのも良いでしょう。また、この残存価値の考え方ができるのは、タバコによる汚れだけでなく、子どもがした落書きや結露によるカビについても同じです。

負担なしでいけるわけではない

このように、借主側の過失によって付けられた汚れや傷についても、経過年数を考慮した金額にしてもらえます。しかし、だからと言って「6年経っているんだから、1平方メートルあたり1円の負担だけでいいよね」というわけにはいきません。

国土交通省は、原状回復をめぐるトラブルとガイドラインにおいて、借主側の負担についてこのように定義しています。

賃借人(借主)の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損であっても、経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っていますので、賃借人が修繕費用の全てを負担することとなると、契約当事者間の費用配分の合理性を欠くなどの問題があるため、賃借人の負担については、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。

引用元: 国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

そのため、「経過年数は考慮するが、過失があるので原状回復のための費用の一部については借主側でも負担する」というところが、このケースでの敷金や退去費用の負担割合を決める落としどころになるでしょう。

なるべくきれいに…一服タイムにできる対策!

お金で解決できると言っても、できることなら1円でも少ない支払いで押さえたいところです。なるべく安い費用で引っ越しを済ませるためには、普段からタバコのヤニ汚れが付いてしまわないような対策をしておきましょう。ちょっとした気遣いで、自分も大家も気持ちよく契約を終えることができます。

対策1. 換気扇の下で吸う

最も簡単にできるのが、この方法です。タバコを吸う時は換気扇の下に行って、換気をしながら一服します。少々落ち着きがなく、座ってゆったりするのが喫煙の醍醐味なのに、と思うかもしれませんが、これも後々の自分のためです。水道が近くにあるため、確実に消化できてボヤ発生の可能性を排除できると前向きに考えましょう。

対策2. 空気清浄機を置く

どうしても部屋でくつろぎながら吸いたい人は、空気清浄機の導入を考えましょう。部屋で吸うため、ある程度の汚れは避けられませんが、ないよりはあった方が格段に良いです。空気清浄機の設定を強にして、吸い込み口に向かって煙を吐き出すと、効率よく煙を吸い込み、ヤニの少ない空気に変換してくれます。

対策3. 定期的に掃除をする

一番良いのは、上記の対策を行ったうえで、汚れが壁紙にしみ込んでしまう前に掃除をすることです。定期的に掃除をするクセをつけておきましょう。こまめな行動が、壁紙をきれいに保つためには一番大切です。

掃除はこうする!少しでもヤニを落としてから返還しよう

対策を徹底していたとしても、部屋の中で吸う限りは、ヤニ汚れや黄ばみを絶対に付けないようにすることはできません。汚れを定着させないために、適切なやり方を覚えて、こまめな掃除に取り組みましょう。正しい薬品選びをして頻繁に掃除しておけば、少ない労力できれいな壁紙に戻すことができます。

ヤニは油分の強い汚れ

ヤニは水溶性の汚れと言われていますが、ヤニに含まれるタールの成分は油分が強いため、アルカリ性の洗剤を使えば油分が緩んで掃除がしやすくなります。おすすめなのは、重曹やセスキ炭酸ソーダを溶かした溶液です。

45度くらいのお湯で作ると、その効果が倍増します。スプレーなどに入れて吹きかけると、みるみるうちにヤニが取れていきます。同じように、アルコールや中性洗剤でも油分を溶かすことができます。いろいろ試してみて、壁紙や汚れの程度に合った洗剤を使うようにしましょう。

頑固なヤニには、メラミンスポンジ

どうしてもヤニ汚れが落ちない場合は漂白剤を使う手もありますが、色むらが出やすいので、あまりおすすめできません。頑固な汚れに困ったら、研磨作用のあるメラミンスポンジを試してみましょう。ただし、強くやりすぎると汚れだけでなく壁紙まで削り取ってしまいかねません。様子を見ながら、力加減を調整しましょう。

仕上げは水拭きと乾拭きで

汚れが落ちたら、洗剤などが残らないように水拭きと乾拭きで仕上げます。水気のあるぞうきんなどで壁紙を拭く時は、継ぎ目に水がしみ込まないように注意しましょう。ノリがはがれて壁紙がめくれてしまうことがあります。

長い間タバコの汚れにさらされて付いた汚れは、ちょっとやそっとで落とすことはできません。これは、壁紙掃除のプロでも同じことです。きれいな状態で部屋を返還するためには、まず汚さないよう意識した生活を心がけましょう。きれいに使おうとした努力が見えれば、値段交渉もしやすくなるはずです。

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