「電気焼け」って、知っていますか?引っ越し前に掃除をしておこうと、長年設置しっぱなしだったテレビや冷蔵庫などの家電製品をどかした後に、壁紙が黒ずんでいたら、それは電気焼けのせいかもしれません。
こうした黒ずみは、過失になるのでしょうか?また、電気焼けを起こさないようにするための対策についても、解説していきます。
電気焼けってどうして起こるの?対策は?
電気焼けは、家電製品による熱や静電気によって壁に向かってホコリや花粉、料理中に飛び散った油などが舞い上がり、くっついてしまったもののことを言います。ホコリや油なら掃除で何とかなりそうと思いがちですが、そうでもありません。
何しろ長い間そのままになっていたものなので、壁紙の小さな隙間にしみ込んでいることがあります。こうならないよう、原因を理解して対策を練りましょう。
テレビ
テレビによる電気焼けは、液晶よりはブラウン管式のものの方が起こりやすいようです。最近はめったにブラウン管のテレビを見かけないので、気にしなくてもよさそうです。まだ大事に使っているという人は、引っ越しを機に買い替えを検討してもいいかもしれません。
テレビで起こる電気焼けの原因は、熱そのものよりも静電気によるものであることの方が多いです。テレビに吸い寄せられてきたホコリが、近くの壁に引っかかって起こります。これを避けるためには、壁から離した位置にテレビを設置するのがよいでしょう。
もし部屋の隅に置くようなら、部屋の真ん中に画面が向くような形で設置すると、壁とテレビの間に三角形の隙間ができて、直接的な影響を避けることができます。また、こうすると、万が一電気焼けになりそうな傾向があっても、手が入れやすいので簡単に掃除ができます。
部屋のレイアウト的に、どうしても壁にくっつけて配置したい場合は、壁とテレビの間に何か一枚遮蔽物を挟みましょう。100円均一の店に売っているような壁紙を貼ってもいいですし、ダンボールなどを一枚立てておくだけでも大丈夫です。引っ越し前にはこれらを取り除くだけで掃除が完了するので、お手軽です。
パソコン
家でパソコンを使う仕事をしている場合などは特に、長時間電源をつけっぱなしにしているでしょう。こんなときは、熱による変色の可能性もあります。ずっとパソコンの電源を切らずに、熱い風を排出させ続けていたら、壁紙が真っ黒になっていたというケースもあります。内部のホコリをとって排熱効率を上げるなど、熱対策をしっかり行いましょう。
冷蔵庫
冷蔵庫の場合は、冷蔵庫が中を冷やすときに出す風によって舞い上げるホコリが原因ではないかと言われています。また、冷蔵庫の裏側は掃除がしにくいため、たくさんのホコリがたまったままになりやすいのも原因の一つです。
冷蔵庫は台所に設置されることが多いので、油を使った調理をしているときに空中に紛れた油煙がホコリに混ざって、頑固な汚れになります。テレビよりも掃除のしにくい汚れである可能性が高いので、より注意が必要です。
冷蔵庫による電気焼けを起こさないようにするためには、できる限り壁との距離を開けるようにします。排熱効率を良くして庫内の冷却をしやすくできるのに加え、電気焼けまで防げるので、絶対やっておいた方がよいでしょう。また、それだけでは不安な場合は、壁にベニヤ板を一枚立てかけておくなどして対応しましょう。
照明器具
シーリングなども、静電気を発生させている場合があるので、長期間の使用により電気焼けを起こす可能性があります。ただし、照明器具が発生させる静電気は微弱なものなので、テレビや冷蔵庫ほど深刻な電気焼けになることは多くありません。
また、白熱電球や金属性のカバーを使用していた場合は、熱が伝わって焼けてしまう場合があります。照明器具の電気焼けを防ぐためには、熱の出にくいタイプのものを使うか、ペンダントタイプのものを選ぶようにしましょう。天井に接触していなければ、電気焼けが起こることはほとんどありません。
どれくらいひどいと修繕費が請求される?
過失になるかどうかは、オーナーの意向によるところが大きいです。「電気焼けは、普通に家電製品を使っているだけでも起こるものだから、オーナー負担で」という場合もあれば、「対策をしていれば起こらなかった汚れなので、過失に当たる」という場合もあります。
自分のつけてしまった汚れなので、ある程度の負担は仕方ありません。ただし金額に納得がいかなければ、値段交渉するのもありでしょう。また、落書きやたばこのヤニなどと同じように、壁紙を貼ってからの経過年数が長いと、借主の負担金額が少なくなる可能性があるので、その視点から交渉してみるのもいいかもしれません。
電気焼けは、一度ついてしまうとなかなか落とすことが難しい汚れです。新しく賃貸に住み始めるときは、退去するときのことを予め考えて、始めから対策をしておくことをおすすめします。
万が一、電気焼けしてしまった場合は、諦めずに掃除をしてみましょう。掃除だけできれいになることもあるかもしれませんし、少しでも薄い汚れにしてから退去した方が、修繕費を負担する可能性はより低くなるでしょう。